重金属による健康被害と残留農薬による死亡事故

重金属による健康被害と残留農薬による死亡事故

重金属が引き起こす健康被害について軽くお考えではありませんか?
重金属の過剰摂取が引き起こす健康被害は高度成長期における公害に代表されます。
水銀(Hg)カドミウム(Cd)は脳の細胞が破壊されることによって引き起こされます。 また、鉛(Pb)は中枢神経に対して有毒性を及ぼします。 鉛鉛(Pb)の多く含まれた飲料水や食品を摂取し過ぎると、認知能力の低下や情緒障害を引き起こします。 厄介なのは幼少期に鉛に汚染され、その後体内から浄化されたとしても、情緒障害は残り、凶暴な犯罪を起こしてしまう原因になりかねません。(ランドルフ・バイヤーらによる研究, 1943年)
水銀やカドミウムは公害病の原因とされて以来、国や地方自治体によって厳しく規制されていますが、鉛については放置されているのが現状です。

環境汚染における重大疾病

疾病名 発生時期 原因物質 症状
水俣病(熊本の水俣湾) 1950年代~1969年 メチル水銀化合物 ▶︎魚介類 手足の麻痺・難聴・神経系障害・言語障害(脳の神経細胞が破壊)
治療法無し
第二水俣病(新潟) 1960年代~1967年 メチル水銀化合物 ▶︎魚介類 手足の麻痺・難聴・神経系障害・言語障害(脳の神経細胞が破壊)
治療法無し
イタイイタイ病(富山県) 1910年代~1968年 カドミウム(Cd) 骨軟化症・全身の激痛
四日市喘息(三重県) 1960年頃~1967年 NOx・SOx ▶︎石油コンビナートからの二酸化硫黄 呼吸器疾患
現在は廃棄処理を行い、硫黄分は大気中に排出されない。
残留農薬による死亡事故

農薬は神経毒です。特に、害虫と呼ばれる昆虫を排除するために使用される農薬は少なからずヒトの神経も破壊します。
2013年にインドで23人の児童が給食に出されたレタスに残っていた残留農薬によって命を落としてしまった重大事件が発生しました。 残留農薬として発見されたのは「モノクロトホス」と呼ばれる農薬で、この農薬はヒトの神経伝達物質に作用し、全身痙攣を引きこします。
食品、特に農作物の摂取前に残留農薬を手軽に測定できることでこのような事故は未然に防げるはずです。
(参考 : インド「毒入り給食」事件、校長に禁錮17年の判決 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

人口増加と食糧危機そして農業

残留農薬による死亡事故

世界人口は2050年に100億人に達し、人口増加に伴う食料確保のために農薬の使用はこれから増大することになるでしょう。 化石燃料の急速な消費や工業化によって、環境汚染が深刻な問題になると予想されます。
水銀やカドニウムは公害病の原因とされて以来、国や地方公共団体によって厳しく規制されていますが、鉛については、放置されているのが現状です。

我々の開発するテクノロジー

汚染物質・ばい菌をその場で測定

on-site analyzer for detecting a contaminant or a pollutant

  • 1. Heavy metal(重金属)
  • 2. Pesticide residue(残留農薬)
  • 3. Bacteria(微生物)

マイクロチップテクノロジー

マイクロチップの画像

サンプルのサンプリングのためにマイクロチップを利用します。マイクロチップとはプラスチックやガラスの手のひらサイズの板の上に溝や穴、ナノスケールの官能基を固定化することで特殊な機能を持たせた試験片です。
我々はナノテクノロジーバイオテクノロジーを融合し、大学の研究室や公共の研究所で行なわれる複雑なサンプルの前処理の過程及び分析を使い捨てのプラスチック片で可能としてきました。
このような機能を持たせたプラスチック片はLab on Chip(プラスチックの上の研究室)と呼ばれることもあります。

参考文献 (Reference)

  1. Zhenqing Li, Ruixue Ju, Shinichi Sekine, Dawei Zhang, Songlin Zhuang, Yoshinori Yamaguchi, "All-in-one microfluidic device for on-site diagnosis of pathogens based on integrated continuous flow PCR and electrophoresis biochip", Lab on a Chip, 19:2663-2668 (2019) (Cover Article).
  2. Zhenqing Li, Bo Yang, Shinichi Sekine, Dawei Zhang, Songlin Zhuang, Yoshinori Yamaguchi, "Alignment and Counting of Mitochondria based on Capillary Electrophoresis". Sensors & Actuators B: Chemical , 265:110-114 (2018).
  3. Aya Hashimoto, Yoshinori Yamaguchi*, Liang-da Chiu, Chiaki Morimoto, Katsumasa Fujita, Masahide Takedachi, Satoshi Kawata, Shinya Murakami, Eiichi Tamiya, "Time-lapse Raman imaging of osteoblast differentiation", Scientific reports, Vol5, Article# 12529, (2015)
  4. Zhenqing Li, Ronglin Yang, Q Wang, Dawei Zhang, Songlin Zhuang, Yoshinori Yamaguchi, " Electrophoresis of Periodontal Pathogens in Poly (ethyleneoxide) Solutions with Uncoated Capillary ", Analytical Biochemistry 471, 70-72 (2015)
  5. Zhenqing Li, De Li, Dawei Zhang, Yoshinori Yamaguchi, "Determination and quantification of Escherichia coli by capillary electrophoresis ", Analyst, 139, 6113-6117, (2014)

DNA / RNAの分析

参考文献 (Reference)

  1. Yoshinori Yamaguchi, Zhenqing Li, Xifang Zhu, Chenchen Liu, Dawei Zhang, " Polyethylene Oxide (PEO) and Polyethylene Glycol (PEG) Polymer Sieving Matrix for RNA Capillary Electrophoresis ",PLoS One, 10(6):e0131265. Epub 2015 Jun 18 (2015) | doi:10.1371/journal.pone.0123406
  2. Zhenqing Li, Chenchen Liu, Yi Ni, Jiaxuan Wang, Yoshinori Yamaguchi, “Electromigration behavior of nucleic acids in capillary electrophoresis under pulsed-field conditions”, Journal of Chromatography A, 1331, (28), 100-107 (2014)
  3. Keiko Sumitomo, Yoshinori Yamaguchi*, Kuniaki Tatsuta, "High performance RNA separation by in-capillary denaturing polymer electrophoresis with 1,2,5-thiadiazole as an additive", Journal of Separation Science, 34, (29), 2901-2905 (2011), (2.63)
  4. Yoshinori Yamaguchi, Todor I. Todorov, Michael D. Morris and Ronald G. Larson “Distribution of single DNA molecule electrophoretic velocities in semi-dilute and dilute hydroxyethyl cellulose solutions”, Electrophoresis 25, 999-1006 (2004).

キャピラリー電気泳動

残留農薬による死亡事故

キャピラリー電気泳動の原理はごく単純です。細いガラス管に導電性の溶媒を入れて、分析したいものを片側から導入して電圧をかけるだけです。 電圧をかけることでサンプルは細いガラス管を流れ、その移動度が質量と電荷で異なることから分析できます。 つまり、電荷が質量に対して大きいものほど早くガラス管内を流れることになります。
キャピラリー電気泳動の分析には、電気侵透流という特徴があります。 電気侵透流は、キャピラリー内部の壁面と溶液の間に発生する数10nmの厚さの電気二重層と呼ばれる界面によって起こります。 電気二重層に電圧をかけると溶液全体が、壁面がマイナスを帯電していれば、陽極から陰極に流れます。 電気侵透流によって、キャピラリー電気泳動では、外部からの高精度ポンプを必要とせずに分離分析を行うことが出来ます。 つまり、電気侵透流が高速液体クロマトグラフィーの高精度ポンプの役割を果たすといえます。

残留農薬による死亡事故

そのどれくらいたくさんの種類の化合物を一度にの分離することが出来るかの指標に「理論段長さ」と呼ばれるものがあります。 例えば、理論段長さが2倍の分析方法は、2倍の種類の化合物の分析を行うことが出来ます。 つまり10倍なら10倍の数の化合物を一挙に分析できます。キャピラリー電気泳動の最大の理論段数は約2,000,000で、場合によっては最大10,000,000程もあります。
一方、高速液体クロマトグラフィーの最大は10,000程度です。これで、キャピラリー電気泳動がどれほど分離能力に優れているかを理解できます。 特に、核酸の分析ではキャピラリー電気泳動は高速クロマトグラフィーと比較して、その優れた分離能力を発揮します。